才能の話が出たので、以前からよく言われている件についてコメント。
才能の数値化
才能をあえて数値化すると、凡人の才能は5~10程度である。これには2つの示唆がある。1つ目は、どんなに才能がない人でも、5ポイントくらいの才能は持っているということである。2つ目は、凡人同士でも最大2倍くらいの差はつくということである。
そのため、7~8くらいの才能を持った凡人の中の凡人が、9~10くらいの才能を持った凡人に向かって、「お前らは天才だから、大して努力をしなくても成果が出るんだろう」と妬むことがある。しかし、これは誤解である。才能は2ポイントしか違わないので、ほとんど誤差である。わずかに効率的に成長できるかもしれないが、7~8の才能の人がちょっと頑張れば、容易に逆転できる程度の差しかない。
凡人の才能を5~10とすると、天才の才能は100や200である。凡人と天才では、才能に10倍以上の開きがあるため、凡人が2~3年かけてようやく出来るようになったことを、天才は2週間や3週間でやってのける可能性がある。「あいつは天才かもしれない」と思っている相手は、だいたい天才ではない。天才というのは、疑う余地がないくらいに次元が違う。「かもしれない」という語尾にはならない。
天才による努力
どのような天才であっても、努力をしてみるまでは、才能があるかどうかは分からない。逆に言えば、ある程度の努力をしてみると、凡人とは明らかに違う成果が出るので、天才であることを自覚できる。
凡人は、努力をしている天才には絶対に勝てない。これは天才側から見ても同じであり、自分が努力をしている限りにおいて、凡人には絶対に負けない。天才と凡人では、全く勝負にならないのである。したがって、努力をしている天才の競争相手は、努力をしている天才になる。天才が競争をしようと思うと、努力をしている天才同士が戦う「天才リーグ」に参加しなければならない。
天才リーグに参加すると、天才同士でも差があることに気づく。100や200の才能を持った天才もいれば、500の才能を持った天才もいる。1,000以上の才能を持つような、10年に1人の天才みたいな人もときどき現れる。天才同士の才能の差は、極めて大きい。凡人同士で比べると、才能には3ポイントくらいしか差がつかないが、天才同士で比べると、平気で数百ポイントの差が生じる。
才能カードバトル
天才が努力をすれば、ほぼ間違いなく成果が出る。成果が約束された状態で努力をするのは簡単なので、天才は努力をする。
さて、天才リーグでは、どのような勝負が繰り広げられているのだろうか。天才が集まって、みんなが限界まで努力をすると、才能だけで順位が決まるのである。努力量では差がつかないので、才能の差がそのまま結果の差になる。全く面白味のない勝負である。
もちろん、どんな天才であっても、努力を怠れば実力が下がっていく。自分が努力を怠ったら、下位の天才に追い抜かれる。ただ、みんなが努力をしている限りにおいては、順位の逆転は起こらない。
天才リーグでの戦い
こうなってくると、100や200の才能しか持たない天才たちは、才能のある領域での勝負から離脱していくことになる。どうせ500の才能を持った天才には勝てないからだ。結果が見えている天才リーグで戦うよりも、他領域の凡人として、他領域の凡人リーグに参加したほうが、まだ面白さを感じられるからである。
500の才能を持った天才たちは、10年に1度の天才が現れないことを祈りながら、500の才能を持った人同士で戦う。この戦いでは、努力がギリギリものをいう。オリンピックなどは、まさにこういう勝負だと思われる。
凡人リーグで戦うということ
凡人である以上、努力をしたからと言ってすぐに成果が出るとは限らない。運要素もある。ただ、中長期的な目線に立てば、努力は基本的に裏切らない。正しい努力を継続していれば、なんだかんだで成果は出る。
凡人リーグにおいては、成果が出るかどうかもわからない中で、それでも努力を続けた人が勝者となる。才能で順位が決まってしまっている天才リーグよりは、まだ面白いのではないかと思う。
努力をしない凡人たちへ
才能がないことを理由に努力をしない人がいるが、それはむしろ逆である。凡人リーグで戦うからこそ、努力量がものをいう。天才リーグだったら、むしろ努力量はあまり関係ない。
5か6の才能しか持たない凡人であっても、他人の3割増の努力をすれば、8や9の才能を持つ凡人には勝つことができる。8~9の才能を持った人たちが努力をしているとは限らないからである。
凡人リーグにおいては、努力の効率に何倍もの差がつくことはあり得ない。最大でも2倍くらいの差しかつかないし、実際にはせいぜいプラスマイナス2割くらいだろう。
才能がないから努力をしても無駄だ、と考えている人はすぐにでも考えを改めてほしい。あなたが所属している凡人リーグには、天才は参加していない。才能がないからこそ、努力量で勝負が決まるのである。