小さな質問を意識するとよい

2万件近くの質問を受けてきたので知見の共有。回答しやすい質問とはどのようなものか。いくつかのテーマで書くかもしれない。

回答しやすい質問というのは、小さい質問である。小さい質問というのはどういうことかを考えていこう。

YES/NOクエスチョンを使う

原始的だが、YES/NOクエスチョンにするというのは重要である。今日いただいた質問を1つ紹介しよう。

例1: 買収防衛策って禁止した方がよくないですか?株主の不利益になることが多いですし、平時から経営陣の株価を上げようという意識だったりが失われるんじゃないでしょうか?安全保障だったりで重要なやつは外為法で国が止めればいいと思います。

この質問は、決して簡単な内容を聞いているわけではないし、疑問文も2つ含まれている。しかし、非常に答えやすい質問になっている。なぜなら、YES/NOクエスチョンだからである。

「買収防衛策って禁止した方がよくないですか?」に対しては、基本的には「そう思う」か「そうは思わない」の二択しかない。後半も同じだ。「~が失われるんじゃないでしょうか?」についても、基本的には「そう思う」と「そうは思わない」の二択で回答できる。

結果として、この質問は、複数の質問が含まれた難解なテーマにもかからわず、非常に回答しやすい質問になっている。

このように回答の仕方を限定するのが重要である。その対極にあるのがオープンクエスチョンであり、可能な限り避けるべきである。

わかっていることを書く

質問というのは、質問者がわからないことを、回答者が答えるという構図にある。回答において最も無駄なのは、質問者がすでに分かっていることを答えてしまうことである。

したがって、何が分からないのかと同じかそれ以上に、何を分かっているのかを書くことが重要である。先ほどの質問をもう一度引用しよう。

例1: 買収防衛策って禁止した方がよくないですか?株主の不利益になることが多いですし、平時から経営陣の株価を上げようという意識だったりが失われるんじゃないでしょうか?安全保障だったりで重要なやつは外為法で国が止めればいいと思います。

この例では、質問文の中の半分程度が、自分がわかっていることについての記述になっている。例えば、外為法については認識しているから説明不要である、ということが示されているのである。

質問をするときは、自分が何をわかっているのかをきちんとアピールする必要がある。

分かっていることをきちんと明記すれば、説明すべき範囲を小さくすることができる。

小さい主語を使う

例2: コンサルの方は業務外で何をどうやって勉強されていることが多いですか?

ほかの方へのご質問からの引用だが、この質問は主語が大きすぎる。コンサルというのは日本に何万人もいるし、何万人もいれば人それぞれなのは自明である。

大きいのは主語だけではない。「勉強」というのも単語として大きすぎる。本を読むだけも勉強に入るのか、業務を想定しての勉強なのか趣味でよいのか、そういったことがさっぱりわからない。

全体的に表現を小さくして、例えば、次のように質問をすればよい。

例2 改善案1: 〇〇さんは、将来のプロジェクトのために、進行中のプロジェクトとは無関係な知識や情報をインプットすることはありますか。もしある場合、最近はどのようなテーマについて情報収集をしていますか。

コンサルという大きな主語ではなく、回答者という小さい主語になっている。時間軸も「最近」に絞ってあるし、「勉強」も「知識や情報のインプット」に絞っている。「何をどうやって」というのも、「どのようなテーマについて」と言い換えれば質問が具体的になる。

例2 改善案2: 〇〇さんは、プライベートでビジネス関連の情報収集をするときに、どのような媒体(ウェブサイト、ツール、書籍など)を使うことが多いのでしょうか。もしよければ、実際に使っているサイトなどをいくつか教えてください。

「どうやって」の部分が聞きたいことの中心なのであれば、それをアピールしなくてはならない。実際に読んだ本、実際に使っているサイト、などと聞けば、大きすぎる目的語を避けられる。

欲張らない

主語を小さくすることとも関連するが、1つの質問で多くを望まないのも大事である。質問数を1つにするのである。

例2: コンサルの方は業務外で何をどうやって勉強されていることが多いですか?

何を勉強するのかと、どうやって勉強するのかは、全く回答が異なるので別々に聞いたほうが良い。一度で聞こうとするのは欲張りである。特に、オープンクエスチョン×2 は欲張りすぎである。

改善案に書いたように、何をにフォーカスして小さく聞くか、どうやってにフォーカスして小さく聞くか、選択したほうが良い。

質問回数が限定されている場面ならまだしも、良い質問をすれば2度目がある場合なら、まずは良い質問をすることを意識したほうが良い